夫の調査<2>

仕事を辞めて心機一転、夫は1ケ月後には再就職できました。幸い同じ業界の同じ部門。今までの経験を生かすことができる、前向きな姿に戻った夫に嬉しくなりました。でも、何だか違うのです。遅く帰って来ても几帳面なこと等々、何ら変わったところは無いはずなのに、何ていうのか・・・嬉しそうというか、はつらつとしているというか、ちょっと若返っている?感じに見受けられるのです。これが女の感でしょうか?

夫はタバコを吸い、その臭いを消す為にリステリンうがい、香水を欠かさないのですが、いつもと変わらないはずなのに、やっぱり何か違う・・・。環境が変わったからと思いたかったのですが、スーツのポケットから遊園地のチケットが出てきたのです。あの几帳面な夫では有り得ないことが起こるものです。怪しんでいたものの、やはりショックで力が抜けました。遊園地なんて柄でも無いと腹が立つし、秘密を持っていたことも許せないし。仕事から帰ってきたら、チケットを見せて追求しようかと考えましたが、結局その夜は無視して先に寝ました。横になりながらいろいろ考えました。もしかしたらもしかしたら私の勘違いかもしれない、決定的な証拠が無いな、探偵事務所とかに調べてもらったら本当のことが分かるのかな。

感情を押さえ込むようにして座る女性を前に、一読しました。状況は分かりました。どちらかと言うと地味目なその女性も、『分かってもらえましたね』の視線です。

さて、これからです。

夫の調査<1>

探偵業をやって10数年が過ぎました。いろいろな案件がございますが、女性の浮気相談の場合は感情的になる思いを整理する為か、夫との出会いから今回の事件に至る経緯を文章にして提出して下さるケースが少なくありません。

 

彼との出会いは大学時代。同じ学部の同じクラス、おまけに個人番号が前後という外的環境にも近いところから始まった。友人の延長線といった感じでおつきあいが始まり、大学卒業後、社会に出ることもなくそのまま結婚。大学1年からの交際を経て、特にドラマチックなときめきもなかったけれど、結婚して一緒に生活をしてみると、夫の家庭的優しさを発見し、感謝の思いが湧く毎日でした。夫は、几帳面で整理整頓が得意です。かたづけ下手な私に代わり、衣替えも手際よくささっとしてくれ、面倒くさいことはついつい甘えて頼っていました。子供もじきに授かり、夫も仕事にやりがいを感じている様で、専業主婦の私にとっては、夫の話を聞いたり、子供の1日の様子を伝えるそんな平凡な生活に幸せを感じていました。

ところが、夫の会社が他の会社に吸収合併することになってから、夫の様子が変わってしまったのです。男性にとっては一大事だと、一度も会社で働いた事が無かった私は、とにかく夫のことを理解し励ましてあげたい一心で、夫の愚痴を聞くことに努めました。

しばらく辛抱していた夫でしたが、吸収された側の苦しい立場に耐え切れず転職しました。夫のプライドはズタズタ、すっかり気力を失っている状態でしたが、まだ30代前半。新しい環境に希望をつないだのです。

調査結果

契約から数日、探偵社から連絡が入りました。

元の奥さんは妊娠中に離婚し実家に戻り、今は実家のすぐ近くで子供と一緒に暮らしているとのこと。今はまだ籍は入れていないが、一緒に暮らしている男性がいるとのこと。今も連絡を取り合っているとは考えにくいという事など、丁寧な報告書を頂き、調査終了となりました。

これから先のことは、まだ迷っていますが、調査をしたことを伏せ、彼と彼の両親で話し合いをしたいと思います。そこで、更にうそを重ねるようなら、離婚を考えたいと思います。